ベランダに屋根を後付けすることは可能?費用相場やメリットを徹底解説
屋根のないベランダに後から屋根を取り付けることは可能か気になる方も多いでしょう。実は後付けベランダ屋根というリフォームがあり、天気を気にせず洗濯物を干せるなど多くのメリットがあります。
本記事では、ベランダとバルコニーの違いから、屋根を後付けするメリットや種類、選び方、費用相場、設置時の注意点まで徹底解説します。
さらに、おすすめのベランダ屋根商品や、よくある質問への回答もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ベランダとバルコニーの違い
「ベランダ」と「バルコニー」は混同されがちですが、厳密には屋根(ひさし)の有無が大きな違いです。ベランダは屋根付きで洗濯物を干す場所として使われることが多く、奥行きもそれほど広くありませんが、少々の雨なら濡れずに過ごせる利点があります。
一方、バルコニーは屋根がなく、ベランダより広めで椅子を置いてくつろぐスペースとして使われる例もあります。ただし、実際には屋根がなくてもベランダと呼ばれることもあり、本記事では屋根のないスペースも含めて便宜上「ベランダ」と表記します。
ベランダに屋根をつけるメリット
ベランダに屋根を後付けすると、日々の暮らしに様々な良い効果があります。洗濯物が雨で濡れる心配が減るのはもちろん、直射日光による室温上昇を抑えたり、周囲からの視線を遮ったりと、屋根が果たす役割は多岐にわたります。
さらに、ベランダ床の防水塗装の劣化を緩和する効果も期待できます。ここでは、ベランダ屋根を設置する主なメリットを紹介します。
- 雨除けになる
- 部屋に入る日差しを緩和できる
- ベランダの塗装の劣化を防止できる
- 周囲の家からの目隠しになる
雨除けになる
ベランダに屋根があれば、急な雨でも洗濯物が濡れにくくなります。よほどの強風を伴う大雨でない限り、屋根が雨を遮ってくれるため、天気を気にして洗濯物を取り込む手間が減り、外出中に雨が降り出しても慌てずに済むでしょう。
洗濯物だけでなく、ベランダに置いたサンダルや物干し竿、布団干し用のバーなども雨ざらしになりにくくなるので、道具類も長持ちします。天気に左右されずに洗濯物が干せることで家事の効率アップにもつながります。
また、屋根のおかげで布団やラグマットも安心して干せるようになるのも大きなメリットです。
部屋に入る日差しを緩和できる
ベランダ屋根で日よけの効果も得られます。多くのベランダ屋根には透明なポリカーボネート材が用いられ、明るい日差しは通しつつも熱や紫外線をカットする機能があります。
屋根のおかげで夏場の強い直射日光が和らぎ、室内の温度上昇を抑えることが可能です。その結果、窓際のフローリングや家具の日焼けがしにくくなり、冷房効率も向上します。冬場の低い陽射しは屋根下まで届くため、室内が真っ暗になる心配もありません。
ベランダの塗装の劣化を防止できる
ベランダ床には防水塗装が施されていますが、紫外線や雨水で劣化しやすく、5年程度でトップコート、10〜15年で防水層の改修が必要になることもあります。
しかし、屋根を後付けすれば、直接の雨水や日差しが当たりにくくなるため、防水層やコーキングの寿命が延びます。ベランダから下階への雨漏りリスクも減り、ベランダを長くきれいに保てるでしょう。
屋根がない場合に比べて塗装の塗り替え周期を延ばせるため、長期的な維持費の節約にもつながります。塗装劣化を気にするストレスも軽減されるでしょう。
周囲の家からの目隠しになる
ベランダ屋根は目隠しとしての役割も期待できます。屋根が上部からの視線を遮るため、隣家の2階や周囲の高い建物からベランダが覗かれにくくなります。周囲との距離が近い住宅密集地では特にプライバシー保護に有効です。
さらに、オプションの目隠しパネル(屋根の前面・側面に取り付けるボード)を併用すれば、斜め方向や道路側からの視線も遮ることができます。屋根とパネルで囲まれた空間は半屋内のような感覚になり、ベランダで過ごす時間がより安心快適になるでしょう。
ベランダの屋根の種類
ベランダに後付けできる屋根には、一般的に3つの形状タイプがあります。屋根のデザインや構造によって外観イメージや機能が異なるため、自宅の環境に合わせたタイプを選ぶことが大切です。
以下では、それぞれの特徴と費用相場を紹介します。
- アール型
- フラット型
- ルーフ型
アール型
アール型のベランダ屋根は、屋根先端がゆるやかな曲線を描いたデザインです。丸みがあり、優しく柔らかい印象を与えます。曲線によって雨が吹き込みにくい効果も期待でき、どんな住宅の外観にも調和しやすいのが特徴です。
アーチ状の屋根形状により屋根下の空間にゆとりが生まれ、圧迫感の少ない開放的なベランダ空間を演出できます。間口(幅)や出幅(奥行)のサイズ展開も豊富で、様々なベランダに対応可能です。
後付け設置にかかる費用相場は、本体価格と工事費を合わせて約9万〜14万円程度です。
フラット型
フラット型のベランダ屋根は、水平な板状の形状をしたシンプルなデザインです。シャープでモダンな印象で、現代的な住宅やシンプルな外観にマッチします。直線的な意匠を好む方に人気のタイプです。
屋根先がカーブしていない分、雨が吹き込みやすい弱点はありますが、その代わり開放感が高く、屋根を付けてもベランダが広く感じられるのが特徴です。
後付け設置の費用相場は、本体+工事費込みで約9万〜13万円程度になります。
ルーフ型
ルーフ型のベランダ屋根は、ベランダ前方に支柱(柱)を立てず、建物の外壁に直接固定するタイプです。柱が不要なため、狭いベランダでも有効スペースを広く使えるメリットがあります。
屋根の形はアール型とフラット型の両方から選べる商品が多く、住宅のデザインに合わせて組み合わせ可能です。外壁にしっかり固定する分、耐風や耐荷重性能にも配慮された構造になっています。
後付け設置にかかる費用相場は、本体+工事費で約11万〜17万円程度です。
ベランダ屋根の選び方
ベランダ屋根を選ぶ際には、デザインや材質、設置方法、性能など様々な観点を考慮する必要があります。
屋根の形状タイプや屋根材の違い、柱の有無、耐風・耐雪性能など、自宅の条件や希望に合わせて最適なものを選びましょう。ここからは、それぞれのポイントについて解説します。
- 屋根の種類で選ぶ
- 屋根材別の特徴で選ぶ
- 支柱あり・なしで選ぶ
- 耐風圧・耐積雪・遮熱性能で選ぶ
屋根の種類で選ぶ
まずは屋根の形状タイプによる選び方です。アール型は曲線の柔らかいフォルムで雨の吹き込みを軽減したい場合に向いています。フラット型は直線的でスタイリッシュな外観を好む方におすすめです。
ルーフ型は狭いスペースを有効に使いたい場合や、柱が邪魔になる動線を避けたい場合に適しています。いずれのタイプもサイズバリエーションが豊富に展開されているため、まずは外観の好みや設置条件に合わせて形状を絞り込むと良いでしょう。
屋根材別の特徴で選ぶ
ベランダ屋根の屋根材には、耐久性に優れたポリカーボネート(樹脂製の透明パネル)が主流となっています。他にアクリル板などもありますが、ポリカーボネートは割れにくく安全性が高い素材です。
ガラスの約200倍の衝撃強度を持ち、飛来物や積雪でも破損しにくい非常に頑丈です。UVカット加工された製品が多く、長期間劣化しにくい高耐久性も備えています。
なお、ポリカ板にも透明タイプと熱線カットタイプがあるため、遮熱を重視するなら熱線吸収ポリカ、採光重視ならクリアポリカを選ぶと良いでしょう。
支柱あり・なしで選ぶ
支柱(柱)の有無も重要なポイントです。ベランダ前に柱を立てる支柱ありタイプは、構造がシンプルで比較的低コストですが、柱がある分だけベランダの開放感や動線はやや制限されます。洗濯物を干す際に柱が邪魔になったり、下に駐車スペースがある場合などは注意が必要です。
一方、柱を設置しない柱なしタイプ(ルーフ型)なら、狭小地や通路上にも屋根を設置しやすく、見た目もすっきりと開放的に仕上がります。
ただし、柱なしタイプは支柱ありに比べて工事費が高く、対応できるサイズ(出幅)にも限度があるため、費用や設置条件と照らし合わせて選びましょう。
耐風圧・耐積雪・遮熱性能で選ぶ
お住まいの地域環境に合わせて、耐風圧や耐積雪性能も重視しましょう。台風の多い地域なら、風速42m/s程度の強風に耐えられる製品がおすすめです。豪雪地帯では、耐積雪50cmや100cmに対応した頑丈なモデルを選ぶ必要があります。
一方、南向きで夏の日差しが強い場合は、遮熱効果の高い屋根材を選ぶことで室温上昇を抑えられます。熱線カット機能付きポリカーボネート板やアルミ製屋根材など、遮熱対策された商品を検討しましょう。
ベランダの屋根を後付けする際の費用相場
ベランダ屋根を後付けする費用は、屋根本体の価格と工事費を合わせて概ね10万〜15万円程度(材料費+施工費込み)が目安です。標準的なサイズ・仕様であればこの範囲に収まるケースが多いでしょう。
デザインや高機能素材にこだわる場合やベランダが大きい場合は、30万〜80万円程度の費用になることもあります。費用は屋根の大きさや仕様によって大きく変動するため、事前に業者から見積もりを取り、確認しておくことが大切です。
ベランダに屋根を設置するときの注意点
ベランダ屋根を後付けする際には、事前に確認しておきたい注意点があります。場合によっては屋根の設置が適さないケースもあるため、施工前にしっかり検討することが重要です。
トラブルなく快適に使用するために、以下の点をチェックしてください。
- 方角によっては屋根が不要なので確認をしておく
- 設置できるスペースがあるかを確認する
- 建ぺい率などの規制に触れないかを確認する
- 外壁に異常がないかを確認する
- 屋根のサイズを確認する
方角によっては屋根が不要なので確認をしておく
ベランダの方角に注意しましょう。特に部屋が北向きの場合は、屋根を付けない方が良いケースがあります。北側はそもそも日当たりが悪く、洗濯物が乾きにくい場所です。ベランダに屋根をつけると、さらに日当たりが悪くなり、乾きにくくなる心配があります。
また、北側の場合は、ベランダ屋根の後付けで室内環境にも影響が出ます。室内が暗くなったり、寒くなったりして、春や秋など本来は暖房が不要な季節でも、エアコンを使用しなければ肌寒く感じられる可能性があります。
ご自宅のベランダの方角や日当たりを考慮し、屋根が本当に必要かを検討しましょう。
設置できるスペースがあるかを確認する
ベランダの構造と寸法を事前に確認しましょう。屋根を取り付けるには、壁面や床面に十分な設置スペースが必要です。例えば、建物の軒先や上階のバルコニーが迫り出している場合、屋根を設置できないことがあります。
また、エアコンの室外機や窓のシャッターなど障害物がある場合は、それらを避けて屋根を取り付けられるか検討が必要です。
標準サイズの屋根が入らない狭小なベランダでは、特注対応や小型商品を選ぶようにしましょう。現地調査を行い、十分なスペースが確保できるか確認してから計画を進めてください。
建ぺい率などの規制に触れないかを確認する
ベランダ屋根を設置する前に、建築基準法上の制限にも注意が必要です。屋根を付けることで建物の建ぺい率や容積率に影響が出ないか確認しましょう。
屋根の規模によっては増築とみなされ、役所への確認申請が必要になる場合もあります。特に既に建ぺい率ギリギリの住宅では、屋根を付けると違法建築とみなされる恐れもあるため注意が必要です。
心配な場合は施工業者や自治体に相談し、法規制をクリアできるかチェックしてください。
外壁に異常がないかを確認する
屋根を固定する外壁の状態も要チェックです。ひび割れや雨漏りなど外壁に不具合がある場合、屋根を取り付ける前に補修しておきましょう。ベランダ屋根は通常、外壁にビス留めして設置しますが、その際に防水処理を適切に行わないと雨水が壁内部に侵入するリスクがあります。
また、住宅メーカーの保証との兼ね合いにも注意が必要です。構造躯体の壁に穴を開けることで保証が無効になるケースもあるため、事前に保証内容を確認し、必要に応じてメーカーや施工業者に相談してください。
屋根のサイズを確認する
計画中のベランダ屋根が、ベランダの大きさに合っているかサイズを確認しましょう。屋根の幅(間口)がベランダ全体をカバーできるか、奥行(出幅)が必要十分な長さかを事前に測定しておくことが大切です。
雨の吹き込みを防ぐには、屋根の出幅はベランダの手すりより少し外側まで延ばすのが理想です。市販のテラス屋根商品には標準サイズがありますが、大きなベランダの場合は連結施工や特注サイズで対応できるか検討しましょう。
逆に小さすぎる屋根では十分な効果が得られないため、ベランダの寸法に合った商品を選ぶことが重要です。
ベランダに設置できる屋根のおすすめ商品3選
ベランダに後付けできる代表的な屋根商品の中から、特におすすめの3製品を紹介します。
今回はLIXIL、YKK AP、三協アルミの3社から、それぞれ人気シリーズをピックアップしました。ご自宅の条件やお好みに合う屋根選びの参考にしてください。
- LIXIL「カーポートSC」ベランダ仕様
- YKK AP「ヴェクター」シリーズ
- 三協アルミ「レボリューA」シリーズ
LIXIL「テラスSC」シリーズ 壁付け仕様
LIXILの「テラスSC」シリーズ 壁付け仕様は、アルミ素材で構成されたミニマルデザインの屋根です。ポリカーボネートではなくアルミ屋根パネルを採用しており、直射日光を完全に遮ります。
住宅との調和を追求したスタイリッシュなデザインで、グッドデザイン賞も受賞しています。壁付けタイプと独立タイプの2通りの設置方法に対応し、様々な場所に設置可能です。
価格帯は標準サイズで約47万円〜となっており、高い耐久性と美しさを兼ね備えたハイエンドモデルです。
YKK AP「ヴェクター」シリーズ
YKK APの「ヴェクター」シリーズは、R型(曲面屋根)、F型(平坦屋根)、ルーフ型(柱なし)など豊富なタイプとカラーが展開されており、設置場所や用途に合わせて選べます。
耐風圧性能は風速42m/s相当まで対応しており、風の強い地域でも安心です。価格はサイズや仕様によりますが、一般的な2階用バルコニー屋根で20万円前後から施工できます。機能とデザインのバランスに優れ、多くの住宅で採用されています。
三協アルミ「レボリューA」シリーズ
三協アルミの「レボリューA」シリーズは、サイズと強度のバリエーションが非常に豊富なテラス屋根です。奥行20尺(約6m)の特に深いタイプや、中間柱なしで幅3間(約5.4m)まで連結できるワイドタイプなど、多彩な仕様が用意されています。
風や雪に強く安心して使える設計で、屋根形状はアール型とフラット型から選択可能です。アール型でも視界を遮りにくい浅めのカーブデザインが採用されるなど、機能性と意匠性を両立しています。
寒冷地向けに耐積雪強化型(積雪〜100cm対応)もあり、全国の幅広い環境に対応します。
ベランダの屋根の後付けに関するよくある質問
ベランダの屋根の後付けに関する気になるポイントをQ&A形式でまとめました。疑問や不安の解消にお役立てください。
- ベランダ屋根を後付けする場合、施工費用の目安と工期はどの程度かかりますか?
- マンションでも後付け屋根は設置できますか?管理規約での制限や申請手続きはどうなりますか?
- 強風・積雪地域でも安心できる屋根材の選び方と、耐久性を保つメンテナンス方法はありますか?
Q: ベランダ屋根を後付けする場合、施工費用の目安と工期はどの程度かかりますか?
一般的な規模のベランダ屋根であれば、費用は材料+施工費込みで10万〜15万円前後が目安です。デザインや性能にこだわった場合は30万円以上かかるケースもあります。
工期は、屋根の大きさや現場状況によりますが、通常は1日〜2日程度で施工が完了します。小規模な後付け屋根なら半日程度、大掛かりな工事でも2〜3日あれば取り付け可能です。
Q: マンションでも後付け屋根は設置できますか?管理規約での制限や申請手続きはどうなりますか?
分譲マンションの場合、バルコニー(ベランダ)は建物の共用部分とされ、居住者が自由に改造することはできません。多くのマンションで管理規約上禁止されており、非常時の避難経路を塞ぐ恐れがあるため認められないケースがほとんどです。
どうしても設置したい場合は、管理組合に許可申請が必要ですが、基本的に許可がおりることは稀でしょう。また、賃貸マンションではオーナーや管理会社の承諾が必要です。総じてマンションのベランダに屋根を後付けするのは難しいと考えられます。
Q: 強風・積雪地域でも安心できる屋根材の選び方と、耐久性を保つメンテナンス方法はありますか?
風が強い地域では、風速40m/s以上の強風に耐えられるモデルを選ぶと安心です。積雪地帯では、耐積雪50cmや100cmに対応した頑丈な屋根を選びましょう。メンテナンス面では、定期的な点検と清掃が耐久性維持のポイントです。
台風など強風の後はネジのゆるみを確認し、屋根の上のゴミや落ち葉を取り除きましょう。雪が大量に積もった場合は早めに雪下ろしを行い、屋根に過度な荷重がかからないよう注意してください。
ポリカーボネート板は長年の使用で劣化するため、10年以上経過したら交換も検討しましょう。
まとめ
ベランダに後付けする屋根は、雨除けや日よけなど暮らしの質を向上させるメリットが多くあります。一方で、設置にあたっては方角やスペース、建築基準法上の確認など注意すべき点もあります。費用相場は10〜15万円程度ですが、機能やデザインによって幅があるため、予算も含めて計画を立てましょう。
ご自宅の状況に合わせて適切なタイプと商品を選び、信頼できる業者と相談しながら進めることが大切です。設置後も定期的なお手入れを行い、ベランダ屋根の快適さを長持ちさせてください。ベランダ屋根を賢く活用して、洗濯やくつろぎの時間をより快適に過ごしましょう。






















