脱走や侵入防止のために猫の登れないフェンスを設置するポイントとは?

猫を飼っている方なら、愛猫の脱走や野良猫の侵入に悩まされた経験があるのではないでしょうか。
開放的な庭は、野良猫が侵入して糞尿被害に悩まされたり、飼い猫が外に出てしまって危険な目に遭遇したりする可能性があります。
そんな悩みを解決するためには「猫が登れないフェンス」を庭に設置することが有効です。適切なフェンスを選べば、愛猫は安全に庭で過ごせるようになり、野良猫の侵入も防ぐことができます。
この記事では、猫が登れないフェンスの選び方やメリット、おすすめの製品について詳しく解説します。猫との快適な生活のために、ぜひ参考にしてください。
目次
猫が登れないフェンスを設置するメリット

猫が登れないフェンスを設置することには、飼い主さんにとっても猫にとっても下記のようなメリットがあります。
- 飼い猫を庭で放し飼いできる
- 庭への侵入を防ぎ、ストレスを軽減
- 植物や花壇を守る
- 衛生面のトラブルを防ぐ
安全性の向上はもちろん、日々の暮らしの質が大きく改善される点も見逃せません。
飼い猫を庭で放し飼いできる
猫は本来、広い空間で自由に動き回ることを好む動物です。猫が登れないフェンスを設置すれば、完全室内飼いの猫でも安全に庭で過ごす時間を作れます。
日光浴や新鮮な空気、自然の刺激は猫の身体的・精神的健康に良い影響を与えるでしょう。
また、室内だけでは満たされない運動量を確保できるため、健康維持にもつながります。愛猫が安全に外の世界を楽しめる環境を整えると、ストレスが軽減され、より健康的で幸せな生活を送れるでしょう。
飼い主としても、猫の脱走を心配せずに庭仕事や外での時間を共有できる喜びがあります。
庭への侵入を防ぎ、ストレスを軽減
野良猫が庭に侵入してくると、飼い猫がストレスを感じる可能性があります。
縄張り意識の強い猫は、見知らぬ猫の匂いやマーキングに過剰に反応し、スプレー行為(※1)や攻撃的な行動を示すことも少なくありません。
猫が登れないフェンスを設置すると、野良猫の侵入を防ぎ、飼い猫のストレスを大幅に軽減できるでしょう。
飼い猫のストレスが減ると、問題行動の改善も期待できます。また、野良猫との接触が減れば、感染症のリスクの軽減も期待できます。
猫どうしのケンカによる怪我も防げるため、飼い猫の安全と健康を守る上でもフェンス設置は有意義な施策です。
※1スプレー行為とは、猫が壁や家具などの垂直面に対して、おしっこを少量噴射するマーキング行動のこと
植物や花壇を守る
猫が登れないフェンスを設置すれば、大切に育てている植物や美しく整えた花壇を猫のいたずらから守れます。
猫は好奇心旺盛な生き物なので、野良猫が侵入すると庭の植物や花壇を掘り返したり、踏み荒らしたりすることがあります。特に柔らかい土は猫にとってトイレとして最適な場所と認識されがちです。
ガーデニングが趣味の方にとっては、せっかくの努力が台無しになる心配がなくなるでしょう。また、猫が食べると中毒を起こす危険性のある植物を庭に植えている場合には、猫自身の安全を守る意味でも侵入防止のフェンスが必要です。
植物の生育状態も安定し、美しい庭を維持しやすくなります。
衛生面のトラブルを防ぐ
猫が登れないフェンスを設置すると、野良猫の外からの糞尿による衛生トラブルを効果的に防ぐことが可能です。
野良猫が庭に侵入すると、糞尿被害に悩まされることが多くあります。
砂場や花壇、柔らかい土のある場所は格好のトイレスポットとなってしまいます。猫の糞尿には寄生虫や細菌が含まれていることもあり、衛生面でのリスクも無視できません。
小さなお子さんがいて、庭の土を触る可能性があるご家庭では特に重要な対策といえるでしょう。
猫の糞尿の臭いは非常に強く、一度定着するとなかなか除去できません。フェンス設置で庭の衛生状態が保たれれば、臭いの付着も防げて余分な家事の負担も軽減できるでしょう。
猫が登れないフェンスを選ぶポイント
猫が登れないフェンスを選ぶ際に、4つの重要なポイントを押さえておきましょう。
- 隙間が狭いデザインのものを選ぶ
- 1.5m以上の高さがあるフェンスを選ぶ
- フェンス下に隙間が少ないものを選ぶ
- フェンスの上が歩けないデザインで選ぶ
上記のポイントを参考に、猫の習性や特徴を理解した上で最適なフェンスを選びましょう。適切な設計と素材のフェンスは、長期間にわたって効果を発揮します。
隙間が狭いデザインのものを選ぶ
猫の頭の大きさは基本的に5cm以上あるので、フェンスを選ぶ際には、地面とフェンス、ブロックとフェンスなどの隙間が猫の頭が通り抜けられないように十分に狭いものを選ぶことが重要です。
猫は非常に柔軟な体を持ち、自分の頭が通れる隙間ならどこでも通り抜けてしまいます。
成猫だけでなく子猫の侵入も考慮する必要があるため、隙間の間隔は5cm以下、できれば3.5cmほどが望ましいでしょう。
隙間が広いフェンスは猫が足をかけて登りやすくなるため、ペットフェンスのような細かいメッシュタイプや、目隠しフェンスのような隙間の少ないデザインも有効です。
フェンスの素材や形状によっては後から補強することも可能ですが、初めから適切な隙間のものを選ぶことで手間とコストを節約できます。
1.5m以上の高さがあるフェンスを選ぶ
猫は驚異的なジャンプ力を持ち、通常の成猫であれば垂直に1.5m程度のジャンプが可能です。運動能力の高い若い猫では2m近くジャンプできる個体もいます。
そのため、猫の侵入を防ぐためには最低でも1.5m以上、できれば1.8m以上の高さのあるフェンスを選ぶことが望ましいでしょう。また、フェンスの近くに樹木や物置などの足場となるものがある場合は、足場の高さも考慮してフェンスの高さを決める必要があります。
通常のフェンスの高さは1m前後なので、猫の侵入が容易にできてしまうため、初期費用を抑えるために高さを妥協してしまうと、結局は効果が得られず追加工事が必要になることもあります。
長期的な視点で十分な高さのフェンスを選びましょう。
フェンス下に隙間が少ないものを選ぶ
猫は隙間があれば潜り込む習性があるため、フェンスの下部にも気を配ります。地面とフェンスの間に隙間ができないよう、基礎部分がしっかりしたものを選ぶか、設置時に地面との隙間をなくす工夫が必要です。
コンクリート基礎を設けるか、フェンス下部を地中に埋め込むと、猫が掘って潜り抜けることを防止できます。特に柔らかい土壌の場合は、猫が掘ってしまう可能性が高いため、フェンス下部に20cm程度の深さまで金網や板を埋め込むのがおすすめです。
ブロックの上にフェンスを設置する場合は、フェンスの下にオプションとして取り付けられる隙間カバーを設置すると隙間を完全に塞ぐことができます。
また、経年変化で地盤が沈下し隙間ができることもあるため、定期的な点検と補修も大切です。猫の侵入を完全に防ぐためには、地面との接地面の対策も忘れずに行いましょう。
フェンスの上が歩けないデザインで選ぶ
フェンスの上部が歩きにくい、または歩けないデザインのものを選ぶことが重要です。
猫は狭い幅でも歩いて移動できます。そのためフェンスの上に飛び乗ってフェンス上を移動し、足場を見つけて庭に侵入、または脱走する可能性があります。
猫が歩きにくいフェンスとしては、下記のタイプが挙げられます。
- 上部が細くなっているもの
- 斜めになっているもの
- 回転するローラータイプのもの
- 外側に45度ほどの角度で傾斜しているもの
- 「キャットガード」がついているもの
キャットガードがついているフェンスは猫が出入りしないよう専用の防止器具を取り付けられるタイプです。
上部にトゲ状の装飾があるデザインの場合は、猫が歩きにくいため効果的ですが、怪我をさせないよう配慮されたものを選びます。
フェンス上部の工夫一つで、侵入防止効果が大きく変わることを覚えておきましょう。
猫が登れないおすすめのフェンス3選

ご紹介するフェンスは、猫対策になる機能も備えています。
- LIXIL フェンスAB
- YKK AP ルシアス フェンス
- 三協アルミ シャトレナⅡ
耐久性や設置のしやすさ、デザイン性なども考慮した上でのおすすめ商品です。
LIXIL フェンスAB
LIXILのフェンスABには、傾斜がついているデザインがあり、猫が手や足をかけにくくなっています。猫が登るのが難しくなり、脱走を防げるでしょう。
ブロックと本体隙間のサイズは6cm以下で、猫が体をくねらせて通り抜けることができないようになっています。(※昔は8cmでした。)
また、オプションで隙間隠し部材も用意されているので、完全に隙間を埋めたいという場合はこちらもご活用ください。
ルーバータイプなら、猫が上ろうとしても足がかりがないためさらに登りにくくなるでしょう。
高さは最大3mまで対応しており、十分な高さを確保できます。また、アルミ製のため耐久性に優れ、長期間使用しても劣化が少ないのが特徴です。
デザインもシンプルでモダンなため、どんな住宅の外観にもマッチしやすいでしょう。カラーバリエーションも豊富で、庭の雰囲気や家の外壁に合わせて選べるのも魅力です。
YKK AP ルシアス フェンス
ルシアスフェンスは、ルーバータイプのデザインであるため、猫が足をかけにくい構造になっています。
上部にオプションで傾斜板やトッププレートを取り付けられるため、猫の侵入をさらに効果的に防げるでしょう。耐久性に優れたアルミ製で、メンテナンス性も良好です。
防犯面でも効果を発揮するため、猫対策だけではなく総合的なセキュリティ向上にも役立ちます。
カラーやデザインのバリエーションが豊富で、洗練された外観は住宅の価値を高める効果も期待できます。
三協アルミ シャトレナⅡ
三協アルミのシャトレナⅡは、下桟の隙間が小さく設計されているため、猫が足をかけることが難しく、脱走を防ぐ効果が期待できます。
縦格子タイプと目隠しタイプの両方があり、状況に応じて選べます。
縦格子タイプは格子間隔が調整できるモデルがあり、猫の大きさに合わせた設計が可能です。
猫が乗りにくい三角形状の上部キャップを追加すると、より猫が上りにくいフェンスにカスタマイズできます。部分的に設置できるため、既存のフェンスと組み合わせた使用も可能です。
フェンス設置後のメンテナンスと注意点
フェンスを設置しただけで対策が完了というわけではありません。
- 定期的な点検を怠らないようにする
- サビや腐食対策を行う
- 新たな侵入経路がないかを確認する
上記の対策で、フェンスの機能を維持しましょう。
定期的な点検を怠らないようにする
フェンスの機能を維持するためには、季節ごとに一度、フェンス全体の点検を行うことがおすすめです。猫が登れないフェンスも、時間の経過とともに劣化したり、地盤の沈下などにより隙間ができたりすることがあります。
確認すべきポイントは、フェンスと地面の間の隙間、パネル同士の接合部分、支柱の傾きなどです。
台風や大雨の後は、風や水の力でフェンスがずれたり傾いたりしていないか確認しましょう。また、周辺の樹木が成長してフェンスに近づき、猫の侵入経路になっていないかも確認します。
フェンスABをご使用いただいている場合は隙間隠しを後から付けることも可能なので、侵入経路が確認できた場合は、取り付けを検討してみてください。
サビや腐食対策を行う
フェンスの材質によっては、経年劣化によるサビや腐食が発生します。
金属製のフェンスは湿気の多い環境や海に近い地域では腐食しやすいため、定期的なメンテナンスが欠かせません。アルミ製のフェンスはサビに強いものの、表面の酸化被膜が損なわれると劣化が進むことがあります。
メンテナンスとしては、定期的に水洗いして汚れを落とすというシンプルな方法です。
サビが発生した場合は、サンドペーパーで軽く削り、防錆塗料を塗ることで進行を防げます。木製フェンスの場合は、防腐・防虫処理を定期的に行い、ひび割れや変形がないか確認しましょう。
つる性植物がフェンスに絡みつくと、猫の足場になるだけではなく、フェンス自体の劣化も早める原因となるため、こまめに除去することも大切です。
新たな侵入経路がないかを確認する
フェンスを設置した後も、新たな足場や侵入経路ができていないかを定期的にチェックします。
猫は賢く適応力があるため、フェンスを設置した後も新たな侵入経路を見つけ出そうとします。
注意すべきなのは、フェンス周辺に置かれた物や成長した植物、隣接する建物などです。たとえば、フェンスの近くに置かれた物置や園芸用品、積み上げられた資材などは、猫が足場として利用してフェンスを乗り越える可能性があります。
また、フェンスに近い位置にある樹木の枝が伸びて、猫の通り道になることもあるでしょう。定期的に庭全体を見回り、猫の目線で考えて潜在的な侵入経路がないか確認することが大切です。
隣家や公共スペースとの境界部分にフェンスの高さや構造の差がある場合は、補強を検討しましょう。猫の行動パターンを観察し、必要に応じて対策を追加することが効果的です。
猫の侵入を防ぐならネットや侵入防止ボードの設置もおすすめ
樹木が多い庭や、複雑な構造の庭では、フェンスだけでは完全に猫の侵入を防ぐことが難しいことがあります。
フェンスだけでは対応が難しい場合や、既存のフェンスを活用したい場合には、補助的な対策としてネットや侵入防止ボードの設置を検討しましょう。
ネットは比較的安価で設置も簡単なため、すぐに対策を講じたい場合におすすめです。ネットは庭全体を覆うことも、特定のエリアだけを保護することも可能です。
侵入防止ボードはフェンスの上部に取り付れば、猫がフェンスを乗り越えることを防止します。
ネットや侵入防止ボードは単独でも効果がありますが、フェンスと組み合わせることでより高い効果を発揮します。状況や予算に応じて、最適な組み合わせを検討してみましょう。
猫が登れないフェンスに関するよくある質問
猫対策でフェンスを設置する際によくある質問と回答を、3つまとめました。
フェンス選びや設置の参考にしてください。また、個別の状況については、専門の業者に相談することで、より適切なアドバイスを得ることができます。
猫が登れないフェンスの理想的な高さはどのくらいですか?
猫が登れないフェンスの理想的な高さは、一般的には1.5m以上が望ましいとされています。成猫の垂直跳躍力は約1.5mほどなので、それより高いフェンスであれば直接ジャンプで越えることは難しくなるでしょう。
ただし、猫の運動能力には個体差があり、若くて活発な猫では2m近くジャンプできる場合もあります。また、フェンスの近くに猫が足場にできるものがある場合は、足場となる物体の高さも考慮して全体の高さを決めることが必要です。
なお、高さだけでなく上部の形状も重要で、傾斜や回転する構造にすると、猫が上を伝って移動できなくなる効果が期待できます。
フェンスに使う材質はどれが猫対策に向いているのでしょうか?
猫対策に向いているフェンスの材質としては、アルミ製、樹脂製、スチール製が挙げられます。
アルミ製は軽量で耐久性に優れ、サビにも強いため、長期的な使用を考えるとおすすめです。表面が滑らかで猫が爪をかけにくく、メンテナンス性も良好です。
樹脂製は軽量で設置が簡単、カラーバリエーションも豊富ですが、経年劣化しやすい傾向があります。
スチール製は強度が高く安価ですが、サビやすいのがデメリットです。
木製は自然な風合いが魅力ですが、猫が爪をかけて登りやすいため、単独での使用は避けた方が良いでしょう。金網タイプは猫が爪をかけて登れるため、目隠しタイプや格子間隔の狭いものを選ぶことをおすすめします。
猫の侵入を完全に防ぐために、フェンス以外で気をつけるべきポイントはありますか?
猫の侵入を完全に防ぐためには、フェンス設置のほかに、下記の対策が有効有効です。
- 猫が隠れられる茂みや藪を減らし、見通しを良くする
- 野良猫に餌付けをしない
- 猫除けグッズを活用する
- 家の基礎部分の隙間や、排水口、換気口をふさぐ
一度でも餌を与えると、猫は継続的に訪れる可能性が高まります。
猫除けグッズとしては、超音波式の猫除け器や、猫が嫌うとされるハーブがあります。水をかける自動センサー式の散水器も効果的ですが、飼い猫がいる場合は注意が必要です。
家の隙間や穴は、猫や害獣が侵入する可能性があるためふさぎましょう。フェンスの上辺に呼び返しと言われるトゲを後付けするのもおすすめです。
まとめ
猫が登れないフェンスは、飼い猫の安全を確保し、野良猫の侵入を防ぐための効果的な解決策です。
適切なフェンスを選べば、野良猫の侵入を防ぎ、飼い猫にとっても飼い主にとっても快適な住環境を維持できるでしょう。
フェンス選びのポイントは、1.5m以上の十分な高さ、隙間の少なさ、猫が登りにくい構造であることです。
また、フェンス設置後も定期的なメンテナンスや周辺環境の確認を欠かさず、必要に応じてネットや侵入防止ボードなどの補助的な対策も検討してみてください。
猫との共生を実現するためのフェンス設置で、快適なペットライフを送りましょう。