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隣地との境界とフェンスの関係とは?費用負担や隣人トラブルの対策について解説

2025/07/02
境界フェンス LIXIL

隣地との境界線にフェンスを設置する際、疑問に感じるのが「どちらかの土地にはみ出ても問題ないか」「費用は誰が負担するべきなのか」といった点です。

フェンスを設置する際、適切な境界の把握と隣人との調整を怠ると、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。

本記事では、境界の正しい理解から費用負担の考え方、隣人トラブルを防ぐためのマナーまで、フェンス設置に関する疑問を詳しく解説していきます。

境界に設置するおすすめフェンスも紹介するので、隣地との境界を滞りなく設置したい方はぜひご覧ください。

フェンスのある場所が境界とは限らない

既存のフェンスや塀がある場所が正式な境界とは限りません。隣人とのトラブル防止のためにも、下記の確認や対策が必要です。

  • 筆界と所有権界が異ならないかを確認
  • 境界が不明な場合は境界確定を依頼するのがおすすめ

着工前に確認しておきましょう。

筆界と所有権界が異ならないかを確認

土地の境界には「筆界」と「所有権界」という2つの概念が存在し、一致していない場合があります

筆界は登記簿上の境界線を指し、法務局に登録された公的な境界のことです。一方、所有権界は実際の土地の所有権が及ぶ範囲を示すものです。

フェンス設置前には「筆界」と「所有権界」が一致しているかを確認しましょう。専門家に相談し、正確な境界を把握してから工事に着手することがおすすめです。

境界が不明な場合は境界確定を依頼するのがおすすめ

境界線が不明確な場合は、土地家屋調査士に境界確定測量を依頼することが正確な境界を知る確実な方法です

境界確定測量では、法務局の地積測量図や公図、現地の状況を総合的に調査し、正確な境界線を確定していきます。費用は35万円~80万円程度かかりますが、将来的なトラブルを防ぐためには必要な投資といえるでしょう。

隣地所有者との立ち会いの下で境界確認を行い、境界確認書を作成することで、双方が納得できる境界線を確定できます。境界確定測量を怠ると、後々の土地売却時にも問題となる可能性があります。

境界となるフェンスは隣人と自分のどちらが費用を負担するの?

フェンス設置の費用負担については、下記のケースが考えられます。

  • 双方の土地にまたがって設置する場合は費用折半も可能
  • 自分の土地の内側に設置する場合は全額自己負担

法的な義務はありませんが、隣人同士の話し合いで合意を得ることが大切です。

双方の土地にまたがって設置する場合は費用折半も可能

境界線上にフェンスを設置する場合、両方の土地所有者が等しく利益を受けるため、費用を折半するのが一般的な考え方です

ただし、一方が高価な材料や特殊なデザインを希望する場合は、その差額分を負担してもらうよう交渉することも可能でしょう。

費用分担については、合意内容を書面で残しておくことがおすすめです。また、将来的なメンテナンス費用についても、あらかじめ取り決めを行っておくとトラブルを防げます。

自分の土地の内側に設置する場合は全額自己負担

自分の土地の境界線から内側にフェンスを設置する場合は、自己負担です。この場合、隣人に費用負担を求めることはできません。

隣人の許可を得る法的責任はありませんが、隣地との関係性を良好に保つためには、事前に設置予定について相談することがおすすめです。特に高さのあるフェンスを設置する場合は、隣地の日当たりや風通しに影響を与える可能性があるため、十分な配慮が必要でしょう。

自分の敷地内に設置するケースでは、将来的な修繕や交換も自分の意思で行える点がメリットです。

フェンスを設置する際に隣人トラブルを防ぐためのマナー

良好な近隣関係を維持するためには、下記のポイントを実践しましょう。

  • 事前に設置に関して相談を済ませておく
  • 隣地の日当たりや風通しを考慮する
  • 双方の住宅のデザインに沿った製品を選ぶ

些細な行き違いが大きなトラブルに発展する可能性があるため、適切なマナーを守りながら進めます。

事前に設置に関して相談を済ませておく

フェンス設置の計画が固まったら、工事開始前に隣人へ相談します

設置場所、高さ、材質、工期などの詳細を説明し、相手の了承を得てから着工するようにしましょう。突然工事が始まると、隣人は驚きや不安を感じるかもしれません。

また、工事中の騒音や作業員の出入りについても事前に伝えておくと、理解を得やすくなるでしょう。

メールなど書面でやり取りし、記録として残しておくことがおすすめです。

隣地の日当たりや風通しを考慮する

設置前に隣人と現地確認を行い、実際の影響を確認することが大切です。フェンスの高さや材質によっては、隣地の日当たりや風通しに影響を与えるためです。

特に南側に高いフェンスを設置する場合は、隣家の庭や窓への日照を遮る可能性があるため、慎重な検討が必要でしょう。風通しについても、密閉性の高いフェンスは隣地の換気に影響を与えることがあります。

季節による日照角度の変化も考慮し必要に応じて、一部を格子状にしたり、高さを調整したりして、双方が納得できる解決策を見つけましょう。

双方の住宅のデザインに沿った製品を選ぶ

フェンスのデザインや色は、両方の住宅の外観に調和するものを選ぶことが理想的です。一方の住宅にのみ合わせたデザインでは、隣人が不満を感じる可能性があります。

モダンな住宅とクラシックな住宅が隣接している場合は、どちらにも馴染む中間的なデザインを選択することが望ましいでしょう。色についても、両方の住宅の外壁や屋根の色と調和するものを選んで、街並み全体の美観を保つよう心がけます。

複数のデザイン案を用意し、隣人にも一言報告すると、双方が満足できる選択ができるでしょう。専門業者のアドバイスを受けることも有効です。

目的や環境に合ったフェンス選びのポイント

フェンスの設置目的や周辺環境によって、フェンス選びのポイントは異なります。

  • 境界付近に窓がある場合は目隠しができるものを選ぶ
  • 境界付近に室外機がある場合は熱がこもらない風通しの良いものを選ぶ
  • 植物を育てている場合は風通しが良く遮光性が高くないものを選ぶ
  • メンテナンスコストを抑えたい場合はアルミや樹脂製のものを選ぶ
  • 費用を抑えたい場合はメッシュタイプのものを選ぶ

フェンスを選ぶ際は、プライバシーの確保、防犯対策、ペットの脱走防止など、具体的な目的を明確にした上で選択しましょう。

境界付近に窓がある場合は目隠しができるものを選ぶ

隣地境界付近に窓がある場合、プライバシーの確保が重要な課題です。特に居室やバスルームの窓が近い場合は、目隠し効果の高いフェンスを選択することが必要でしょう。

目隠し効果を重視する場合は、板状や格子の細かいデザインが適しています。フェンスの高さは1.8メートル以上の高いフェンスが選ばれる傾向があります。

ただし、あまりに高すぎると圧迫感を与えたり、建築基準法に抵触したりする可能性があることを忘れてはなりません。

角度によって見え方が変わる製品もあるため、実際の使用状況を想定して選択しましょう。

境界付近に室外機がある場合は熱がこもらない風通しの良いものを選ぶ

エアコンの室外機やボイラーが境界付近にある場合、熱の排出を阻害しないフェンスを選びます

密閉性の高いフェンスを設置すると、機器の冷却効率が低下し、故障の原因となる可能性があるためです。

境界付近に室外機やボイラーがある場合は、格子状やメッシュタイプなど、風通しの良い製品を選択することが望ましいでしょう。熱風が隣地に流れると近隣トラブルの原因となる可能性もあるため、適切な距離を保ちながら設置することが大切です。

室外機やボイラーのメンテナンスも考慮し、出入りしやすい空間を空けて設置することも重要なポイントです。

植物を育てている場合は風通しが良く遮光性が高くないものを選ぶ

庭で植物を育てている場合、フェンスの選択は植物の成長に影響を与えます。

日照を必要とする植物の場合、遮光性の高いフェンスは成長を阻害する可能性があるでしょう。また、風通しが悪いと病害虫の発生リスクが高まるため、適度に風が通る構造のフェンスを選ぶことがおすすめです。

植物を育てている場合は、格子状のデザインや間隔を空けた板塀などが適しているでしょう。つる性植物を這わせたい場合は、植物の重量に耐えられる強度のあるフェンスを選びます。

季節による植物の成長パターンも考慮し、長期的な視点でフェンスと植物の調和を考えると、住宅の外観が垢ぬけます。定期的な剪定作業も考慮に入れて設計しましょう。

メンテナンスコストを抑えたい場合はアルミや樹脂製のものを選ぶ

メンテナンスの頻度が少ない素材を選ぶと、長期的な維持費用を抑えられます。

アルミ製フェンスは腐食しにくく、耐久性に優れています。樹脂製のフェンスも同様に、腐食や劣化に強く、清掃も簡単に行えるでしょう。

木製フェンスは温かみのある外観が魅力ですが、定期的な塗装や防腐処理が必要で、メンテナンスコストが高くなる傾向があります。ステンレス製も耐久性が高いですが、初期費用が比較的高額です。

設置環境や予算を総合的に考慮し、予算とメンテナンス頻度のバランスが取れた素材を選択すると、コスパよくフェンスを維持できます。保証期間も確認しておきましょう。

費用を抑えたい場合はメッシュタイプのものを選ぶ

初期費用を抑えたい場合は、メッシュタイプのフェンスが経済的な選択肢です

メッシュタイプのフェンスは、材料費が安価で施工も比較的簡単なため、総合的なコストを削減できるでしょう。メッシュタイプでも、素材や網目の細かさによって価格は変わります。

亜鉛メッキ処理されたものは耐久性が高く、長期的にはコストパフォーマンスに優れているでしょう。部分的に目隠しパネルを組み合わせると、プライバシー保護も両立できます。

境界に設置するおすすめのフェンス3選

ここからは、隣家との境界に設置するおすすめのフェンスを3つ紹介します。機能性とデザイン性を両立でき、町の景観を損なわないデザインを厳選しました。

LIXIL フェンスAB

フェンスABは木調カラーのフェンスで、スタイリッシュな外観ながらも自然な雰囲気を演出します。

バリエーションが豊富で、8デザイン・19タイプ・3カラーが展開されており、様々なニーズに応じた選択が可能です。

フェンスABは下空き寸法が60mmと狭く、目隠し性能に優れています。オプションで「下桟すきまカバー」を設置すると、デザイン性を損なうことなく完全に下空きをなくすことも可能です。

一本の柱に複数のパネルを重ねる多段柱は、目隠し性能を高めつつ、軽快な見た目を実現しています。

また、2025年春からブロック上施工は高さ1600ミリで柱ピッチも2000ミリピッチにできるようになりました。

三協アルミ レジリア

レジリアはシンプルで洗練されたデザインが特徴です。フレームレスなデザインで抜け感のある境界を演出できます。

横ルーバーや格子タイプなど、さまざまなスタイルが用意されており、住宅の外観に合わせた選択が可能です。YL1型やYK3型などのモデルは、目隠し効果と通風性を両立できるでしょう。

目隠し性能に優れており、外部からの視線を効果的に遮ります。横ルーバータイプは、視線を遮りつつも風通しを確保するため、快適な住環境を作り出せるでしょう。

高さ600mmから1200mmまでの豊富なサイズ展開があり、設置場所や目的に応じて最適なサイズを洗濯できるため、ニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。

YKK ルシアスフェンス

ルシアスフェンスはデザインバリエーションが豊富で、横スリットタイプや木調デザインなど、好みに合わせて選択できます。なかでもYS3F型は程よい目隠し効果を持ちながら、開放感も確保できると高評価です。

アルミ製であるため腐食に強く、長期間にわたって美しい外観を保てるでしょう

H02型は目隠し率が高いため、プライバシーを守りつつ適度な採光と通風を確保できます。

費用を抑えたい方には片面ラミネート加工されたモデルがおすすめです。比較的リーズナブルな価格ながらもスタイリッシュなデザインを実現できます。

フェンスを境界に設置する際のよくある質問

目隠しフェンス LIXIL

敷地の境界にフェンスを設置する際のよくある質問と回答を、3つ厳選してまとめました。

フェンスを設置して隣人トラブルになることはありますか?

フェンス設置を巡って、実際に隣人とトラブルになる可能性はあります

相談なしで工事を実施した結果、工事中にトラブルになった例もあり、結果として工事を中止せざるを得なくなった事例も報告されています。

例えば、事前に何も相談なかったという感情的な問題が発生するケースが多いです。

その他の主なトラブルの原因は、境界線の認識違い、費用負担の問題、日照や風通しへの影響などが挙げられるでしょう。

トラブルを防ぐためには、計画段階から隣人とのコミュニケーションを重視し、合意形成を図ることが不可欠です。

万が一トラブルが発生した場合は、当事者同士での解決が困難であれば、専門家や公的機関の利用も検討すべきです。

ただし、トラブルにならないための予防が最も重要な対策といえるでしょう。

フェンスの設置に関する法律はありますか?

フェンスの高さについては、建築基準法により高さ制限があります。ブロック塀の上にフェンスを設置する場合、ブロック塀とフェンスの合計高さは2.2メートル以下でなければなりません

自分の敷地内であれば設置場所についてのルールは特になく、法律上は自由に設置できます。

自治体によっては景観条例や建築協定により、フェンスの高さや色、材質について制限が設けられている場合もあるため確認しましょう。

隣家と費用を折半するにはどうしたら良いですか?

隣家との費用折半を実現するためには、まず相手との合意形成が不可欠です。設置の必要性について双方が認識を共有し、メリットを理解してもらうことから始めましょう。複数の業者から見積もりを取得し、適正な価格を提示すると話を進めやすくなります。

費用分担の方法や支払いスケジュール、将来的なメンテナンス費用の負担方法についても取り決め、合意内容は書面で残しておきましょう。

もし相手が費用負担に難色を示す場合は、全額自己負担で自分の土地内への設置も検討します。

まとめ

隣地境界にフェンスを設置する際は、まず正確な境界線を確認し、目的に合ったフェンスを選びます。費用の負担については法律上の決まりがあるものの、やはり隣人との丁寧な話し合いと合意形成が何よりも重要です。

事前の相談をしっかり行い、相手への配慮を忘れなければ、大きなトラブルを避けられ、設置後も良好なご近所付き合いを続けられるでしょう

正しい知識と誠実な対応で、安心できる理想のフェンス設置を目指しましょう。

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